本稿では,通信方式にMC-CDMAを用いた車車間通信のためのカルマン通信路推定を提案する.車車間通信は自律分散型通信であり,送信車両毎に異なる通信路特性を示す.さらに,送受信車両の移動により,マルチパスフェージングやドップラーシフトが生じるため,パイロット信号間でも通信路の変動が生じる.本稿では,通信路の変動に追従することを目的に,通信路推定にカルマンフィルタを利用する.提案するカルマン通信路推定では,カルマンフィルタで生じる誤差の影響を抑えるために,カルマン通信路推定とパイロット信号間の通信路を補間関数を用いて推定する通信路推定に基づいた結合通信路推定により推定値の更新を行う.計算機シミュレーションの結果から,提案するカルマン通信路推定を用いることで通信路の変動への追従が可能になり,補間関数を利用した通信路推定より良い特性が得られることを示す.