抄録
ユーザが見ている場所の情報、すなわち視線情報は、ユーザインタフェースにおける有用性が示されつつも、その計測方法が複雑かつ計測器が大型高価であるため、その応用は学術用途などに限られている。特に視線情報の中でも、常時無意識下で起こる眼球運動であるサッケードは、新たなユーザインタフェースの可能性が示されつつも、その高速さのために通常のビデオカメラでは検出・追尾が不可能である。著者らはこれまで、サッケードを含む高速な眼球運動検出が可能な画像センサと処理回路を統合したVisionChipのアーキテクチャを検討してきた。本稿では、高速カメラとFPGAを組み合わせた、VisionChipの動作をエミュレートするシステム上に構築した高速リアルタイム視線検出システムの実装とその評価について述べる。