抄録
本研究では,表情の違いが表情随伴性色残効の生起に影響するかどうかを調べた.我々の過去の研究では,表情間での順応効果の違いを比較できないという問題点が存在したため,この違いを比較できるよう実験の手順を改良した.被験者は怒り表情と赤,喜び表情と緑という組み合わせで順応し,順応前後での色の見えの変化を比較した.その結果,表情によって順応色が異なるにも関わらず,どちらの表情でも緑方向への残効が生起した.この残効の大きさは,表情間で有意差は見られなかった.また,順応刺激は顔表情画像のまま,テスト刺激のみをモザイク画像にして実験を行った場合,残効は生起しなかった.この結果は,表情ではなく顔に随伴して色残効が生起した可能性が高いことを示す.