抄録
本論文では、円形凸起が電波伝播にもたらす効果について、円形凸起の構造変化に対する定量的な数値解析結果を示す。建造物等のコンクリート壁表面に周期構造の円形凸起を施すことは、周囲を伝播する電波に影響を及ぼすことをこれまで数値解析シミュレーションおよび伝播実験により示してきた。例えば、円形凸起の寸法が波長程度の場合、平らな壁に対する垂直入射電波により形成される定在波とは大きく異なる定在波が得られる。そこで、本論文では、入射波長に比べ小さな寸法から十分大きな寸法まで円形凸起の曲率半径や周期配列間隔を様々に変化させ、円形凸起を施したコンクリート壁に対して垂直に入射した電波の定在波をFDTD解析している。その結果、定在波が変化する大きな要因は、反射波の振幅が円形凸起により位置に応じて大きくなったり小さくなったりと大きく変化することにあることが分かった。また、その反射波の変化は、円形凸起の曲率半径と周期配列間隔により変化することも示している。