抄録
航空機からの散乱波を利用する一次監視レーダの代替装置としてマルチスタティックレーダ(MSPSR)が注目されている.MSPSRは既存のレーダ信号だけでなく他の目的で利用されている電波も利用することができるパッシブレーダに分類される.種々の信号の中でも地上ディジタル放送波は高出力で監視覆域を拡大できる可能性をもった信号である.本研究は,日本の地上ディジタル放送波の信号形式であるISDB-Tを利用した航空機測位システムについて検討している.本稿では,移動物体の検出に不要となる固定物体からの反射信号を抑圧し,移動物体のみを特徴的に検出する実験を行ったので,その結果について報告する.