日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2189-4760
Print ISSN : 1881-7319
ISSN-L : 1881-7319
シンポジウム
特発性肺線維症をもつ人々の尊厳に着目したケア(ディグニティ・センタード・ケア)と基盤理論の開発
猪飼 やす子
著者情報
ジャーナル フリー HTML

2023 年 32 巻 1 号 p. 12-17

詳細
抄録

心身の苦痛は尊厳の脅かしに関連するとされ,特発性肺線維症(IPF; idiopathic pulmonary fibrosis)療養者の生活の質は,低い傾向にあると国内外の研究で報告されている.各国の呼吸器学会のIPF合同ガイドラインでは,生活の質の向上を目標とする緩和ケアに言及しているが,有効なケアは未確立である.IPF療養者への緩和ケアは未だ享受し難く,尊厳の脅かしが考えられる.

IPF療養者と家族への看護実践のエビデンスは限られている.いずれも国外の研究であるが,療養者と家族への疾病管理への集団教育は,介入後に生活の質の低下を認め,ケア提供者,療養者,ならびに家族とのカンファレンスに基づく援助は,4週間後の症状緩和に有効であった.Lindellらは質的調査にて,IPF療養者らのアドバンス・ケア・プランニングへの抵抗感を報告している.

筆者はIPF療養者の尊厳に着目した緩和ケアプログラム,ならびに看護実践の基盤となる理論ディグニティ・センタード・ケア(Dignity-Centered Care)の開発研究を続けている.本稿では,活動の一部を紹介する.

著者関連情報
© 2023 一般社団法人日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
前の記事 次の記事
feedback
Top