抄録
医療分野における3Dプリンタの利用によって,患者固有の病態の可視化,可触化が可能となった.そこで,3D造形物を用いた触知覚評価のための,皮下構造物を擬似表現する触知覚評価刺激を生成する.皮下構造物として擬似試料を3Dプリンタにより造形し,擬似試料をゲル素材に埋め込むことにより,触知覚評価刺激を生成した.触知覚評価刺激の生成には,埋め込み時における擬似試料の支えの有および無の2種類の埋め込み手法を用いた.本稿では,この埋め込み手法における支えの有無が触知覚に与える影響を検討する.ROC解析による触知覚評価実験により,埋め込み時の擬似試料の支えの有無は,必ずしも触知覚へ影響を与えないことを明らかにした.