抄録
近年,スマートフォンやタブレット端末など次世代型の携帯無線端末が急速に普及しており,人体が電磁波にさらされる機会が増大している.従来型の携帯無線端末の電磁波による生体影響については,これまでに世界中の様々な研究機関によって評価されている.しかしながらスマートフォンなど新たな携帯無線端末の電磁波ばく露による生体影響を評価した例はほとんど報告されておらず,WHO (World Health Organization)は新たな携帯無線端末の電磁波による生体影響の評価を優先的な研究課題として挙げている.従って本稿では,数値モデル化したスマートフォンと数値人体モデルを用いた数値シミュレーションにより,スマートフォンを音声通話やデータ通信に用いる際の人体内SAR (比吸収率:Specific Absorption Rate)評価を実施した.その結果,スマートフォンをデータ通信に用いる場合よりも,音声通話に用いる場合にSAR が高値となることを確認した.また解析の結果得られたSAR の値は全てICNIRP(国際非電離放射線防護委員会:International Commission on Non-Ionizing Radiation Protection)のガイドラインに定められた指針値を下回ることを確認した.