抄録
筆者らは,放送サービスの高品質化および高機能化に向けて,次世代地上放送の伝送方式を検討している.伝送耐性の異なるサービスを配信する階層伝送方式について,現行の地上デジタル放送と同じFDMの適用を考えている.FDMにおける移動受信向けの階層では,伝送耐性を高くするために伝送容量の低い変調方式を用いるため,固定受信向けの階層と比較して電力の利用効率が低くなる.これに対し,ATSC3.0で採用された階層伝送方式の一種であるLDMを移動受信向けの階層に適用することができれば,電力の利用効率が高まり,方式全体として伝送容量の向上を見込むことができる.本報告では,FDMとLDMを組み合せた階層伝送方式について,LDMで多重した階層における移動受信サービスの実現性を評価するため,計算機シミュレーションにより移動受信特性を求めた.空間ダイバーシティを用いることで,LDMを適用した階層についても移動受信サービスを伝送できる可能性を確認したため,この結果を報告する.