抄録
液晶ディスプレイに用いられる拡散フィルムには、高透過率と拡散性向上が求められている。高透過率拡散フィルムとして、高屈折率層と低屈折率層が交互に繰り返す高分子多層構造フィルムが提案されている。屈折率差に起因する回折により光を拡散するが、屈折率分布の評価手法および光学特性の解析方法がなかった。そのため、拡散分布が台形状となる基本メカニズムが明確ではなかった。本研究では、共焦点レーザ顕微鏡の反射光量からノイズを除去する手法を考案して屈折率分布を評価した。評価した分布から、屈折率層の厚みのばらつきに起因して、屈折率分布は振幅の異なる様々な周期構造から構成されていることが分かった。そこで、振幅の大きな周期構造を抽出し、厳密結合波理論に基づいて拡散分布を解析した。その結果、拡散分布が台形の肩を作る主要因は1次回折光であり、ある角度範囲で強度が一定になる要因は、複数の周期構造の存在によることを明らかにした。