2018 年 13 巻 2 号 p. 12-19
我が国では、高齢化の進展、独居高齢者の増加に伴い高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らすことができる社会の構築が喫緊の課題となっている。IT機器による高齢者の見守りも提案されているが見守られる側の拘束感や負担感が指摘されている。近年、無拘束、無意識かつ自動的に見守れる方法としてライフラインを活用したシステムが提案されているが、長期間の実施報告は少ない。本研究はライフラインの中でも生命維持に必要不可欠であり生活行動に伴い変化する「水道」に着目し、水道水の使用状況から過疎地域の75歳以上の独居高齢者8名(男性2名、女性6名、平均年齢84.6±4.2歳、循環器疾患受療中7名)の生活の見守りを1年間行なった。5分毎に計測された水道流量をクラウドサーバに記録し、水道使用量から独居高齢者の生活の見守りを行った。本研究の目的は、独居高齢者の水道使用状況を1年間モニタリングし、日常生活行動や生活パターンの推察に適切な時間単位を検討することである。独居高齢者が生活の中でどのように水道を使用するかを異なる時間、週、月、四季単位で解析を行った。検討したい生活行動情報と集計時間単位との関係について分析した結果、日常生活行動の推察に適切な時間単位が明らかとなり、独居高齢者の生活の見守りのツールとしての有用性が示唆された。