ITヘルスケア誌
Online ISSN : 1881-4794
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ISSN-L : 1881-4794
13 巻, 2 号
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巻頭言
原著論文
  • 山本 洋行, 北村 有子, 山口 建
    2018 年 13 巻 2 号 p. 3-11
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー

    がん薬物療法による副作用の発現率や重症度の推移は、医療者にとって診療の目安となる。しかし、多くのがん薬物療法では、それらが明確に示されていない。我々は、十分な副作用情報の蓄積により、それらを明確にできると考えた。静岡がんセンターでは、患者から副作用自己評価を紙ベースで得て診療に用いているが、その情報を蓄積し活用できていない現状がある。そこで、我々は、患者の副作用自己評価情報を蓄積し、一元管理するシステムを構築した。本研究では、構築したシステムの臨床応用について検討した。

    構築したシステムは、1)患者自己評価用紙の管理・印刷、2)患者自己評価の読み取り・データベース登録、3)結果出力、の3機能を有し、紙ベースの運用継続と副作用自己評価情報の取り込み簡略化のため、記録用紙をマークシートとした。持ち運びを考慮し、A4版両面印刷で1枚に約10種の副作用について1週間分記録できるようデザインした。

    構築したシステムの評価は、非小細胞肺がんでシスプラチン+ペメトレキセド療法を行う患者13人の、9種の副作用自己評価情報を用いて行った。結果出力のグラフより、各副作用の発現率や重症度の推移が把握でき、そのグラフは各副作用・コースで特徴を示した。本システムによる情報の十分な蓄積が、副作用の発現率や重症度の推移を明確にし、各コースの推移から、支持療法の効果を評価できることが示唆された。

  • 纐纈 朋弥, 大野 ゆう子, 石原 多佳子, 西本 裕, 小林 和成
    2018 年 13 巻 2 号 p. 12-19
    発行日: 2018年
    公開日: 2018/08/25
    ジャーナル フリー

    我が国では、高齢化の進展、独居高齢者の増加に伴い高齢者が安心して住み慣れた地域で暮らすことができる社会の構築が喫緊の課題となっている。IT機器による高齢者の見守りも提案されているが見守られる側の拘束感や負担感が指摘されている。近年、無拘束、無意識かつ自動的に見守れる方法としてライフラインを活用したシステムが提案されているが、長期間の実施報告は少ない。本研究はライフラインの中でも生命維持に必要不可欠であり生活行動に伴い変化する「水道」に着目し、水道水の使用状況から過疎地域の75歳以上の独居高齢者8名(男性2名、女性6名、平均年齢84.6±4.2歳、循環器疾患受療中7名)の生活の見守りを1年間行なった。5分毎に計測された水道流量をクラウドサーバに記録し、水道使用量から独居高齢者の生活の見守りを行った。本研究の目的は、独居高齢者の水道使用状況を1年間モニタリングし、日常生活行動や生活パターンの推察に適切な時間単位を検討することである。独居高齢者が生活の中でどのように水道を使用するかを異なる時間、週、月、四季単位で解析を行った。検討したい生活行動情報と集計時間単位との関係について分析した結果、日常生活行動の推察に適切な時間単位が明らかとなり、独居高齢者の生活の見守りのツールとしての有用性が示唆された。

編集後記
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