公園その他のインフラ,庭園,ゴルフ場コースなど生活圏に広がる芝地は,樹木と同様に永年性である「芝草」が形成する「芝生」と,共存する雑草,虫,微生物等および土壌で構成される「芝地生態系」です.そして,この生態系の質を左右する最大の要素は雑草であることから,雑草の水準を下げることが適切な芝地管理の基本となります.そのためには,芽が地際や地中にあり,芝地で受ける淘汰圧(刈込み・踏圧)に対して再生力旺盛な「芝地雑草」と称される一群の生活様式を把握する必要があります.これらの種が,いかに高度な適応戦略をもって芝地に生きているのか,スズメノカタビラ,ヒメクグ,メヒシバといった主要草種について,著者らの研究例をもとに具体的に説明しています.また,雑草の芝地への侵入・拡散様式,芝生との競争関係についても考察しました.