岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
症例
非穿孔性眼外傷による後嚢破裂後の 白内障を手術した小児の2例
千葉 智恵美 酒井 大典坂本 うみ菊地 彩奥野 孟田中 三知子黒坂 大次郎
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2018 年 70 巻 3 号 p. 107-111

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抄録

非穿孔性眼外傷による水晶体後嚢破裂を伴う白内障は,若年者にまれにみられる外傷性白内障である.我々は2例の12歳の男児の手術を行った.症例1は登校旗のプラスチック棒により左眼を受傷し,症例2は野球ボールで右眼を受傷した.それぞれ受傷後8週,8か月で手術を行った.手術は強角膜切開で行い,術中に硝子体の逸脱はみられず,眼内レンズを嚢内に挿入することができた.水晶体後方に水晶体由来のfish-tailやwhite dotsが見られたが,それらは吸引のみで消失した.後嚢切開や前部硝子体切除は行わなかった.今回の症例では後嚢と前部硝子体をつなぐWieger靭帯で囲まれたBerger腔が水晶体後嚢の役割を果たした可能性が考えられた.術後視力は1.0以上が得られた.

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© 2018 岩手医学会
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