岩手医学雑誌
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Print ISSN : 0021-3284
症例
新生児期発症の中腸軸捻転症: 初発症状と臨床経過
伊藤 歩惟 松本  敦塩畑  健和田 泰格高清水 奈央鳥谷 由貴子小西  雄外舘 玄一朗小山 耕太郎
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2019 年 71 巻 4 号 p. 151-158

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抄録

非特異的な症状で発症し,診断が遅れたことで死亡した中腸軸捻転症の1例を経験したため,過去10年間に新生児集中治療室で経験した新生児期発症の4例について初発症状と臨床経過を検討した. 1例は生後20日に哺乳不良と不機嫌,不活発,腹部膨隆で発症し,胆汁性嘔吐は認められなかった.発症20時間後に手術が行われたが,腸は広範囲に壊死しており死亡した.3例は出生当日または翌日に胆汁性嘔吐で発症した.腹部超音波検査によりwhirlpool signが確認され,中腸軸捻転症と診断された.捻転解除により症状は改善した. 中腸軸捻転症の典型例は,生後1週以内に腹部膨満を伴わず,胆汁性嘔吐で発症する.非典型例は腹部膨隆や不機嫌,不活発および哺乳不良のみを認める場合があり,これらの症状の新生児を診察する場合には中腸軸捻転症を考慮すべきである.腹部超音波検査でwhirlpool signを確認することが診断に有用である.

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© 2019 岩手医学会
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