2020 年 72 巻 1 号 p. 21-29
非アルコール性脂肪性肝疾患は主として肝生検により診断され,治療や予後予測に頻用されている.その評価には脂肪変性に陥った領域の広さ,炎症の程度,線維化の有無が主に使用されている.形態観察による脂肪変性領域の評価は主観が入りやすく,客観的な計測方法の確立が望まれる.より正確に施設間の評価の誤差を少なくする目的で,バーチャルスライドを用いて,肝生検での脂肪化率定量化を試みた.背景領域から脂肪変性細胞を抽出するために各種パラメーターを用いて検討した結果,ほぼ正確に脂肪変性細胞面積を計測し得た.目視による評価とバーチャルスライドを使用する評価を比較すると形態観察による計測結果は遙かに過大評価されていることが示された.