2021 年 73 巻 1 号 p. 33-44
昭和60年度‹1985年度‹に開始した協会の大腸がん検診は平成30年度‹2018年度‹までの33年間に延べ2,186,055名を検診し,大腸癌4,795名‹発見率0.22%‹を検出した.先に検診発足以来,平成18年度‹2006年度‹までの集計,さらにその後平成24年度‹2012年度‹まで6年間の追加集計で検診方法の推移と検診成績の関係を中心に分析し報告した.今回,その後検査方法が同一であった2018年度までの6年間の検診成績を追加分析した.その結果,地域および職域集計で平均要精検率は前回の5.6%から5.3%に,平均精検受診率は83.0%から84.5%に,発見率は0.24%から0.23%と,ほぼ同率に推移し,最終陽性反応的中度は4.41%であった.近年,大腸がん検診における癌発見率のみならず,発見癌に占める限局癌の比率も高く,発見例の5年実測生存率は90.8%,10年実測生存率は84.4%と良好であることから,現行の検診は大腸がん死亡の予防法として有効性が高いと考えられた.検診の全体を検討した結果,精度管理の重要性が強調された.