岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
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岩手県対がん協会による胃がん検診
平成25年度(2013年度)~平成30年度(2018年度) の追加集計成績と発足以来の推移
狩野  敦 村上 晶彦松本 主之小川  彰
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2021 年 73 巻 1 号 p. 21-32

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抄録

1965年度に開始したバリウムを用いる胃X線検査による岩手県対がん協会の胃がん検診(胃集団検診)は2018年度までの53年間に延べ3,923,333名を検診し,5,003名の胃癌患者を検出した.先に検診発足以来,2012年度までの検診の推移を分析報告した.今回,2013年度から2018年度までの6年間の検診成績を追加分析した.さらに検出胃癌の5及び10年実測生存率を調査した.その結果,地域および職域集計で前回5年間の集計に比較し,今回6年間の集計では,平均要精検率は7.3%から5.5%に,平均精検受診率は87.1%から87.7%に,癌発見率は0.15%から0.14%に推移し,最終陽性反応的中度は2.53%であった.また,5年実測生存率は84.4%,10年実測生存率は79.0%であり,有効性の高い胃がん予防方法と考えられた.一方で地域検診にあっては人口減少や受診者が高齢化し,受診率ことに新規受診者の伸び悩み,そして読影医の高齢化などの問題点が指摘され,今後の胃がん検診の在り方を検討すべき段階にきていると考えられた.

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