岩手医学雑誌
Online ISSN : 2434-0855
Print ISSN : 0021-3284
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連続円形前嚢切開が不完全に眼内レンズ光学部を覆うことと眼内レンズの種類の白内障術後の後嚢混濁形成への影響
福田 一央木澤 純也 橋浦 哲哉工藤 利子木澤 明実五日市 そら黒坂 大次郎
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2021 年 73 巻 5 号 p. 227-235

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抄録

白内障手術により多くの例で視機能が回復するが,1~3割は後嚢混濁により視機能が低下する.後嚢混濁は,眼内レンズ光学部が前嚢切開縁で完全に覆われていない場合に起こりやすく,眼内レンズの種類も影響する.そこで,前嚢切開縁が眼内レンズ光学部を覆っていない範囲(NCC)や眼内レンズの種類のどちらが,後嚢混濁のうち視機能に影響しやすいElschnig’s pearls (EPs)により影響するか,診療録により30眼を後ろ向きに検討した.EPsの評価は,EPsの眼内レンズ光学部後面への侵入部位と程度,侵入時期やneodymium-yttrium aluminum garnetレーザー施行時期で行った.これらの指標は,NCC部の範囲に影響を受けなかったが,眼内レンズの種類では,EPs発症時期に有意に影響した.EPsは,前嚢切開縁が眼内レンズ光学部を覆っていない程度よりも眼内レンズの種類により影響されると思われた.

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© 2021 岩手医学会
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