岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
Print ISSN : 0385-1311
ISSN-L : 0385-1311
原著
ラット顎下腺の加齢に伴なう形態学的変化
―とくに腺房細胞について―
佐島 三重子久米田 俊英鈴木 鍾美
著者情報
ジャーナル フリー

1985 年 10 巻 3 号 p. 142-148

詳細
抄録

ラット顎下腺の腺房について, 加齢に伴なう形態学的な変化を光顕的および電顕的に検索した。

SD系ラット雄の若年期から成熟期として2, 4, 6および12ヵ月齢, 老齢期として22ヵ月齢を各群4匹づつ用いた。光顕的には若年期から成熟期の顎下腺の腺房細胞はよく発達していた。電顕的に腺房細胞には粗面小胞体やゴルジ装置が発達し, 分泌穎粒にはamorphous material が均等に分布していた。

22ヵ月齢の腺房細胞には以下のような退行性変化がみられた。すなわち, 光顕的に腺房細胞の胞体は大小不同となり, 空胞がしばしばみられた。時に濃染性や奇体な核がみられた。また胞体のPASやトルイジンブルーに対する染色性は低下していた。電顕的には粗面小胞体は著明に減少し, 疎な amorphous matedal からなる分泌穎粒が胞体内に満ちていた。分泌穎粒は癒合して大きなものを形成し, これらが光顕的に空胞状を呈するものと思われた。また,リポフスチンはその大きさ, 数ともに増加していた。

著者関連情報
1985 岩手医科大学歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top