岩手医科大学歯学雑誌
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原著
ラット歯肉上皮の微細構造について
山森 徹雄石橋 寛二武田 泰典
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1985 年 10 巻 3 号 p. 161-171

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抄録

Wistar系雄ラット(生後6~7週齢)の上顎臼歯部歯肉組織について, とくに歯に面する上皮を中心に電顕的に観察した。その結果, 歯に面する部分の上皮は1)歯肉溝上皮, 2)付着上皮, 3)歯肉溝上皮と付着上皮の移行部の3つに大きく区分でき, さらに付着上皮は歯冠側部, 中間部, 歯根側部に細分できた。歯肉溝上皮は典型的な角化重層扁平上皮の所見を呈していた。付着上皮は非角化重層扁平上皮であり, 開大した細胞間隙には多くの好中球や, 少数ではあるがリンパ球やLangerhans細胞様の細胞が存在していた。付着上皮歯冠側部には上皮細胞の変性, 壊死がみられた。また, 付着上皮は中間部から歯根側部に向かうに従って次第に菲薄となっていた。歯肉溝上皮の移行部では, 基底細胞の外形が高円柱状を呈し, 浅層での扁平化やtono-filamentの増加は歯肉溝上皮ほど顕著ではなかった。

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1985 岩手医科大学歯学会
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