岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
Print ISSN : 0385-1311
ISSN-L : 0385-1311
原著
乳歯列における癒合歯, ならびに先天性欠如歯の臨床的検討
(2)歯冠および歯列弓形態について
印南 洋伸野坂 久美子甘利 英一
著者情報
ジャーナル フリー

1988 年 13 巻 2 号 p. 162-172

詳細
抄録

乳歯列に癒合歯, 先天性欠如歯を有する患児の咬合育成を図るにあたり, その基本となる乳歯の歯冠および歯列弓の形態を明らかにするために, 148例の石膏模型を用いて研究し, 次の結論を得た。

1)癒合歯の歯冠近遠心径は不完全型が完全型より有意に大きく, その差は1mm以上であった。

2)完全型癒合歯の幅厚指数はすべての対照歯より有意に小さく, 歯冠全体が薄い形をしていた。

3)BC癒合例の癒合側Aの歯冠近遠心径は, 対照側Aのそれに比べて有意に大きく, とくに女子で著しかった。

4)癒合歯, 先天性欠如歯を有する乳歯列弓は明らかな狭小化を示し, とくに両側性BC癒合例で著しかった。

5)正中の偏位量は片側性発現例で大きかったが癒合歯の発現部位による差はなかった。

6)Terminal planeの各型式の出現率は, 正常例と差がなかった。

7)歯間空隙の出現頻度は, AB, AB癒合例ではその遠心側で, BC癒合例ではその近遠心側で高かった。しかし, 歯列弓の狭小化が強いBC癒合例では, AB癒合例に比べて低かった。

著者関連情報
1988 岩手医科大学歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top