岩手医科大学歯学雑誌
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原著
Enzyme-linked immunosorbent assayによるB群溶血レンサ球菌のIgG, IgM抗体の測定
田近 志保子金子 克
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1988 年 13 巻 2 号 p. 152-161

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抄録

B群溶血レンサ球菌(group B streptococci, GBS)各型の菌体から得た多糖体を精製した型特異抗原を用いて, GBS感染症小児の血清immunoglobulin G (lgG) とimmunoglobulin M (IgM) 抗体をenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) により測定した。対象は虚弱児・慢性疾患児収容施設の小・中学生で, GBSの分離は1985年3月から1986年5月まで毎月行い, 血清の採取は1985年4月, 6月, 11月, 1986年3月に行った。GBS分離陽性者の型特異lgG, IgM抗体をELISAで測定した。GBS分離陽性者は分離陰性者にくらべ, 型特異IgG, IgM抗体はともに高かった。GBS Ia, Ib, Ic, Ⅱ, Ⅲ型の抗体はすべて型特異的であり, 異型抗体の上昇は認められなかった。

GBS感染症小児のGBS型特異IgG, IgM抗体の経時的推移を見るとGBSをほとんど毎月分離した学童は, 型特異IgM, IgG抗体は高かった。またGBS分離直後は型特異IgG抗体よりも型特異IgM抗体が高く, GBSが分離できなくなると型特異IgM, IgG抗体は低下することを確認した。これらのことからELISAによりGBS型特異IgM, IgG抗体を測定できることが明らかになった。

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1988 岩手医科大学歯学会
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