岩手医科大学歯学雑誌
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13 巻, 2 号
選択された号の論文の27件中1~27を表示しています
原著
  • 福田 喜安, 斎藤 善広, 瀬川 清, 工藤 啓吾, 藤岡 幸雄
    1988 年 13 巻 2 号 p. 123-128
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2017/11/19
    ジャーナル フリー

    5例の嚢胞摘出後の顎骨欠損部に対し, 旭光学社製の非吸収性生体活性ハイドロキシアパタイト・セラミックス顆粒(アパセラムG®)を応用し, その使用方法と臨床経過について検討を加えた。

    その結果, 本顆粒の使用により, 術後の歯槽骨の形態が保持できた。また, 嚢胞腔内の膿汁貯溜例には, アパセラムを抗生剤溶液に浸漬した後に使用したところ, 術後の感染例はなかった。術後12~15ヵ月の経過観察期間ではあるが, 患者は補綴物を装用でき, また, 術創の異常経過もみられていない。

  • 特に3H-thymidine, 3H-prolineの取り込みに対する影響について
    永野 弘之
    1988 年 13 巻 2 号 p. 129-136
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2017/11/19
    ジャーナル フリー

    マウス頭蓋骨を用い, in vitro で骨片より増殖してきた骨由来の細胞について, dexamethasoneとindomethacinの骨由来細胞に対する影響についてautoradiographyを用いて検討した。まず, 骨片周囲の細胞についてalkaline phosphatase活性と電顕的観察により, 骨原性(osteogenic progenitor cells)の強い細胞集団の領域を確認してから実験を開始した。

    骨由来の細胞の3H-thymidineの取り込みは, dexamethasoneにより促進されるがgeneration timeへの影響はみられなかった。 Indomethacin処理群の3H-thymidineの取り込みは各実験期間ともに増減がみられず, またgeneration timeには遅延的に作用することから, DNAへの3H-thymidineの取り込みに対しては抑制的に作用していると思われた。一方, 有意差はみられなかったが, 3H-prolineの取り込みについては対照群と比較してdexamethasone群では6~10時間後に増加がみられたが, indomethacin群では遅れて10~24時間後に増加する傾向がみられた。

  • 外川 正
    1988 年 13 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2017/11/19
    ジャーナル フリー

    歯内療法用小器具の消毒法, 経済性などを総合的に検討するため, 歯科医院を対象にアンケート調査を行い, 小器具をどのような方法で消毒しているかについて, その実態を調査した。アンケート調査の結果から, 清浄液, 消毒薬, 小器具使用中の削片除去方法, 洗浄方法, 消毒などについて走査型電子顕微鏡による観察と細菌培養により検討を加えた。その結果, 歯科臨床で行われている小器具の消毒は, ウイルス感染を防止するうえで十分ではないことが明らかになった。さらに歯科臨床への応用が容易な超音波洗浄器と消毒薬の併用による消毒法が操作時間を短縮し消毒効果を高めることが明らかになった。

  • 亀谷 哲也, 三浦 廣行, 中野 廣一, 八木 實, 清野 幸男, 猪股 恵美子, 𠮷中 ひとみ, 加地 以子, 石川 富士郎, 山本 加 ...
    1988 年 13 巻 2 号 p. 144-151
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2017/11/19
    ジャーナル フリー

    新しい診査基準を用いて, 岩手県紫波郡矢巾町の0歳から6歳までの咬合診査を行った。その結果, 不正咬合は, 1歳6カ月児から46.2%という高い頻度で認められ, とくに乳歯咬合の完成に近い2歳児では49.1%とさらに高い頻度でみられた。不正要因は, discrepancy要因のものが1型, 2型とも多く, 年齢群では, 1歳6カ月児, および2歳児が最も多かった。他の骨格型や機能型は各年齢群を通じて大きい変動はなく, 全体として出現頻度は低いが, 骨格型では6歳児で13.9%に認められた。重症度は, A, B, の段階までが約90%を占めていたが, Cと診断される不正咬合の保有者も少数ではあるが認められた。

    以上の結果に基づく保健指導は, とくに顎骨の発育を促進させるような食生活の指導を補強する必要があると考えられた。治療に関する指導では重症度を参考に骨格型, discrepancy型を中心に治療開始の適当な時期を見逃さないように指摘しておくことが重要であると思われた。

  • 田近 志保子, 金子 克
    1988 年 13 巻 2 号 p. 152-161
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2017/11/19
    ジャーナル フリー

    B群溶血レンサ球菌(group B streptococci, GBS)各型の菌体から得た多糖体を精製した型特異抗原を用いて, GBS感染症小児の血清immunoglobulin G (lgG) とimmunoglobulin M (IgM) 抗体をenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) により測定した。対象は虚弱児・慢性疾患児収容施設の小・中学生で, GBSの分離は1985年3月から1986年5月まで毎月行い, 血清の採取は1985年4月, 6月, 11月, 1986年3月に行った。GBS分離陽性者の型特異lgG, IgM抗体をELISAで測定した。GBS分離陽性者は分離陰性者にくらべ, 型特異IgG, IgM抗体はともに高かった。GBS Ia, Ib, Ic, Ⅱ, Ⅲ型の抗体はすべて型特異的であり, 異型抗体の上昇は認められなかった。

    GBS感染症小児のGBS型特異IgG, IgM抗体の経時的推移を見るとGBSをほとんど毎月分離した学童は, 型特異IgM, IgG抗体は高かった。またGBS分離直後は型特異IgG抗体よりも型特異IgM抗体が高く, GBSが分離できなくなると型特異IgM, IgG抗体は低下することを確認した。これらのことからELISAによりGBS型特異IgM, IgG抗体を測定できることが明らかになった。

  • (2)歯冠および歯列弓形態について
    印南 洋伸, 野坂 久美子, 甘利 英一
    1988 年 13 巻 2 号 p. 162-172
    発行日: 1988/08/30
    公開日: 2017/11/19
    ジャーナル フリー

    乳歯列に癒合歯, 先天性欠如歯を有する患児の咬合育成を図るにあたり, その基本となる乳歯の歯冠および歯列弓の形態を明らかにするために, 148例の石膏模型を用いて研究し, 次の結論を得た。

    1)癒合歯の歯冠近遠心径は不完全型が完全型より有意に大きく, その差は1mm以上であった。

    2)完全型癒合歯の幅厚指数はすべての対照歯より有意に小さく, 歯冠全体が薄い形をしていた。

    3)BC癒合例の癒合側Aの歯冠近遠心径は, 対照側Aのそれに比べて有意に大きく, とくに女子で著しかった。

    4)癒合歯, 先天性欠如歯を有する乳歯列弓は明らかな狭小化を示し, とくに両側性BC癒合例で著しかった。

    5)正中の偏位量は片側性発現例で大きかったが癒合歯の発現部位による差はなかった。

    6)Terminal planeの各型式の出現率は, 正常例と差がなかった。

    7)歯間空隙の出現頻度は, AB, AB癒合例ではその遠心側で, BC癒合例ではその近遠心側で高かった。しかし, 歯列弓の狭小化が強いBC癒合例では, AB癒合例に比べて低かった。

症例報告
総会記事
岩手医科大学歯学会第25回例会抄録
岩手医科大学歯学会第26回例会抄録
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