1989 年 14 巻 2 号 p. 100-106
Staphylococcus epidermidis の産生するslime proteaseの病原因子としての役割を明らかにする目的で, 精製slime proteaseのマウスにおけるS. epidermidis感染時の影響, および好中球の貧食殺菌活性におよぼす影響について検討した。S. epidermidisのslime産生株はslime非産生株にくらべ,マウスに対する致死性が強いが, 菌体外物質を除去することにより, 致死性は減弱した。これに対して, slime非産生株のマウスに対する致死性は, S. epidermidisの精製 slime proteaseを注射することにより増強され, 注射48時間後の生存菌数も多かった。なお, 精製slime proteaseは in vitro における好中球の貪食殺菌活性を阻害した。これらのことは, slime proteaseがマウスにおけるS. epidermidis 病原性発現の一因子となっている可能性を示唆している。