1989 年 14 巻 2 号 p. 124-129
血圧維持に関する交感神経系とカテコールアミンとの関連性を究明する目的で, 正常血圧ラットに化学的交感神経遮断作用を有する物質5-ヒドロキシドーパミン(5-OHDA)を投与し, 尾動脈から血圧および心拍数を継続的に測定した。血圧は5-OHDA投与後, 一過性の著明な上昇に続いて急速な下降を示したのち, 徐々に回復するという二相性の変動を示した。心拍数は5-OHDA投与後, 著明な減少を示したが, その後すみやかに初期値まで回復した。また, 血圧および心拍数は5-OHDAの投与に対し用量依存性の反応を示した。
この事から, 5-OHDAが交感神経末端のアミン貯蔵顆粒内で内因性ノルアドレナリンと置換・放出した後, 代謝産物である5-ヒドロキシノルアドレナリンが偽伝達物質として作用した可能性が示唆された。