岩手医科大学歯学雑誌
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原著
頸部廓清術にて摘出されたヒトリンパ節にみられた甲状腺組織の病理組織学的ならびに免疫組織化学的検討
八幡 ちか子
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1989 年 14 巻 2 号 p. 79-91

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抄録

頸部廓清手術材料284例に含まれていたリンパ節828個を用い, これらにおける甲状腺組織の出現状況を病理組織学的に検索した。リンパ節内甲状腺は直径0.2mm前後の微小結節であり, これらの結節周囲には被膜様構造はほとんどみられなかった。甲状腺組織を構成する濾胞は円形で, 濾胞内にはコロイドを満たしていた。乳頭状構築を呈する濾胞は認められなかった。濾胞上皮細胞は正常の甲状腺でみられるものと同様の所見を呈していた。リンパ節内において, 甲状腺組織は被膜ちかくのリンパ髄あるいは被膜内にみられるものが多かった。リンパ節内甲状腺組織は11例(3.87%)の13個(1.57%)にみられた。解剖学的部位別では, 顎下リンパ節で1個(0.66%), 浅頸リンパ節で2個(0.90%), 深頸リンパ節で10個(2.69%)であった。なお, 同一症例で複数個のリンパ節内に甲状腺組織をみたものが2例あった。なお, 異型性を伴った過形成像を呈する甲状腺組織が2個のリンパ節にみられた。酵素抗体法によってthyroglobulin, triiodothyronineならびにthyroxineのリンパ節内甲状腺組織における局在を検索した結果, 約半数で軽度ないし中等度陽性を呈した。

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1989 岩手医科大学歯学会
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