岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
Print ISSN : 0385-1311
ISSN-L : 0385-1311
症例
2根を有する上顎中切歯の歯周治療の1例
八重柏 隆上野 和之
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 26 巻 3 号 p. 195-199

詳細
抄録
切歯が過剰歯と癒合した症例については報告されているが,複根歯の切歯やその歯周治療例にっいての報告はほとんどない。我々は,上顎中切歯で2根を有する癒合歯の歯周治療例について報告する。上顎右側切歯部頬側の発赤腫脹を主訴として来院した症例で,上顎右側中切歯は歯冠が一っであり,歯根は各々根管歯髄を有する近遠心的2根を示していた。 治療として,初期治療後,歯周外科時に遠心1根の切除と,骨欠損部へのハイドロキシァパタイトの填塞を試みた。その後,歯肉症状は消失し,治療部の歯肉は歯肉退縮をきたすことなく,当該歯を保存することができた。本症例から切歯部における複根歯の歯周治療では,臼歯部の分岐部病変における歯根の治療に準じて行う必要があるように思われた。
著者関連情報
2001 岩手医科大学歯学会
前の記事 次の記事
feedback
Top