岩手医科大学歯学雑誌
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症例報告
顎下部に発生した顆粒細胞腫の1例
東海林 理泉澤 充佐藤 仁星野 正行高橋 徳明六本木 基松本 直子武田 泰典小豆嶋 正典
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2018 年 42 巻 3 号 p. 120-126

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抄録

左顎下部に発生した極めてまれな顆粒細胞腫について報告する.患者は38 歳の女性で左の顎下部の腫脹を主訴に来院した.病変は弾性硬で初診時に直径が約30 mm であった.圧痛は示さなかった.超音波検査,CT,MRI から顎下腺に形成された多形腺腫か悪性腫瘍を疑った.全身麻酔下で病変の切除が施行された.病理学的には好酸性顆粒を持つ細胞の充実性な増殖が認められた.免疫組織科学的に腫瘍細胞の細胞質内顆粒はS-100 蛋白質と神経特異エノラーゼ(NSE)が陽性であった.Ki-67 の陽性率が2%以下であった.内部に顎下腺の組織が見られなかったことから,顎下部に発生した顆粒細胞腫との病理組織学的診断を得た.術後2年5か月が経過したが,再発の所見は認められていない.

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2018 岩手医科大学歯学会
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