岩手医科大学歯学雑誌
Online ISSN : 2424-1822
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原著
マウスにおけるフェニレフリン誘導唾液分泌反応に及ぼす抗精神病薬クロルプロマジンの影響
村井 繁夫斉藤 弘子平井 俊英船越 正夫武田 則行伊藤 忠信
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1983 年 8 巻 3 号 p. 146-150

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抄録

交感神経性唾液分泌に対する抗精神病薬クロルプロマジン(CPZ)の作用を明らかにするため, マウスのフェニレフリン(PHE)誘導唾液分泌反応に及ぼすCPZの1回および3週間連続投与の影響について検討した。実験方法: マウスにおけるPHE (20mg/kg, s. c.) 誘導唾液量の測定には, Richter 法を改良した方法を用いた。CPZ (2, 40mg/kg, s. c.) とフェノキシベンザミン(PBZ, 0.05, 2.5mg/kg, s. c.) は, 1日1回21日間投与した。結果および考察: (1). CPZおよびPBZの1回投与はPHE誘導唾液分泌反応を用量依存的に抑制した。(2). これらの被検薬の抗唾作用は大量のCPZ (40mg/kg/日×21日間) 投与群の場合を除いて, 連続投与期間中ほとんど変化を示さなかった。(3). CPZ40mg/kg/日×21日間の抗唾作用は減弱した。この減弱は薬理学的除神経増感の発現によると考えられる。(4). CPZの長期服用時に起る口渇や dry mouth などはCPZのもつ副交感神経抑制作用ばかりでなく, 交感神経抑制作用も含めた総合的な作用により誘発されると考えられる。

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1983 岩手医科大学歯学会
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