1983 年 8 巻 3 号 p. 176-186
著者らは, 小臼歯咬合面に発現した中心結節が, 破折などで種々の障害を呈した9症例を経験した。そこで, これらの症例の臨床所見ならびに治療法について検討した結果, 次のような結論を得た。
中心結節の破折などで, 併発症を起こした年齢は平均10.7歳であった。また, 歯種ならびに中心結節の存在部位は, 下顎第2小臼歯の中央溝部が最も多く, その時の状態は破折しているものがほとんどであった。臨床症状はほとんどが急性炎症であり, その処置として, 根末完成歯の感染根管治療が多かったが Vilapex® による根管充填は根尖の閉鎖に非常に有効であった。なお, 9症例中8例において, 患歯以外にも中心結節を有する歯が存在しており, このことは, 併発症を起こしている患歯発見の一つの目安になるものと思われた。