伊豆沼・内沼研究報告
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2007 年の航空写真より計測した伊豆沼・内沼の水面形状および面積
高橋 佑亮藤本 泰文
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キーワード: 拡大, 湖岸, 自然再生, 浸食, 地図
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2018 年 12 巻 p. 17-25

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抄録

宮城県北部に位置する伊豆沼・内沼では,自然再生事業などさまざまな環境保全活動が実施されている。その基礎資料となる水面の情報としては,1968 年や1981 年,2001 年に測量された国土地理院1/25,000 地形図が使われてきた。しかし,さまざまな要因で沼の変化が生じており,保全活動の有効性を評価するためにも,現況に則した情報が求められる。そこで本研究では,最新の航空写真(2007 年11 月撮影)を用いて,伊豆沼・内沼における精細な水面の作成と面積の算出を行った.その結果,水面面積は伊豆沼が357 ha,内沼119 ha,浄土川2 ha と算出された.作成した水面と,1981 年に測量された1/25,000 地形図の水面を重ねて差分を求めた結果,1981 年から2007 年の26 年間で,伊豆沼では10 %,内沼では13 %,水面が拡大したことが明らかになった.また,環境省1/50,000 植生図(1985 年度調査)と重ねて植生区分別に面積を集計した結果,水面が拡大した区域の88 %がヨシPhragmites australis やマコモZizania latifolia が優占するヨシクラスであり,これらの湖岸の湿性植物群落の消失によって水面の拡大が生じたことが明らかになった.

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© 2018 公益財団法人 宮城県伊豆沼・内沼環境保全財団
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