2019 年 13 巻 p. 37-43
宮城県は他県では年1 回であるガンカモ類の個体数調査を年3 回実施しているが,その意義を生かした解析はこれまでなかった.ここではハクチョウ類に着目し,11 月から1 月にかけて個体数増加率を秋の渡りの進み具合,1 月から3 月にかけての個体数減少率を春の渡りの進み具合とし,気象条件と給餌との関係を分析した.2000/01年から2014/15年までの15年間の調査において,宮城県で1 月に記録されたハクチョウ類の平均個体数は11月では3,870羽,1月では13,057羽,3月では3,230 羽であった.ハクチョウ類の増減率と環境要因の関係をみると,宮城県のハクチョウ類は12 月の降雪量が多いほど秋の渡りが早く進み,2 月の降雪量が少ないほど春の渡りが早く進んだ.一方で,増減率と給餌箇所数には有意性は認められなかった.