抄録
本稿では,負債・持分の定義,および定義の解釈および適用方法のあり方について検討し,それらの検討を踏まえ,定義の組み合わせに基づく「負債・持分の区分」のあり方について検討する。負債は「将来資産を引渡したり,用役を提供したりする義務」と定義されることが多い。しかし,そこでは定義の解釈および適用の問題があり,負債の定義における義務概念について再検討が必要になるものと考えられる。また,持分は「残余」であると同時に「所有者の権益」であると定義されることが多いが,この場合にも,定義の解釈および適用の問題がある。
さらに,負債と持分を定義した上で,残高試算表における負債・持分・収益の区分を考えなければならない。しかし,負債と持分の定義が示す範囲に重複があると第三区分が生じ,負債と持分とともに収益まで積極的に定義すると必然的に第四区分が生じる。そのため,負債および持分の定義を,負債・持分・収益の区分に用いることになる。