本論文では,CVP分析に代表されるコスト・ビヘイビアの分析モデルについて,利益予測の会計的技法として使用した場合の有用性を検討する。この目的のため,(1)コストを固定費と変動費に分解する基本的な「CVPモデル」,(2)コストおよび売上高の当期と前期の差分に基づいて分析する「差分モデル」,(3)コストの下方硬直性を考慮する「非対称モデル」という3 つの分析モデルについて経験的に検証を行った。その結果,「CVPモデル」に比べて,「差分モデル」が精度の高い利益予測を,また,「非対称モデル」が不偏性の高い利益予測を行うことが明らかとなった。