会計プログレス
Online ISSN : 2435-9947
Print ISSN : 2189-6321
ISSN-L : 2189-6321
グローバル会計基準の正統性と言説としての原則主義
真田 正次
著者情報
キーワード: 原則主義, 正統性, FASB, IASB, IFRS
ジャーナル フリー

2013 年 2013 巻 14 号 p. 14-25

詳細
抄録
 本稿は,原則主義とIFRSの普及との関係を正統性の観点からとらえるとともに,それを言説,すなわち書かれたもの,語られたものといった言語表現の総体としてとらえ,言説としての原則主義の意味を明確化するとともに,IFRSの採用のグローバルな拡大の中でそれがどのような機能を担っているのか明らかにすることを目的としている。原則主義の意味を明確化する中で,原則主義と細則主義は概念的な二項対立の関係にはないこと,仮に原則主義会計基準と細則主義会計基準という理念型を両端とするスペクトラムの中で両者の概念的位相をとらえた場合,原則主義と細則主義は現実的には,程度の問題および/または相対的な位置関係の問題となること,が明らかとなった。にもかかわらず,原則主義という言説があたかもある種の実体を伴ったものとしてその優位性が主張されることを本稿はレトリックとしてとらえ,①原則主義は米国基準に対するIFRSの優位性を主張するためのレトリックである,および②原則主義はIFRS採用国による翻訳的適応の可能性を示唆するレトリックである,という2 つの仮説を導出し,現実の会計現象に関する新たな解釈の可能性を提示する。
著者関連情報
© 2013 日本会計研究学会
前の記事 次の記事
feedback
Top