会計プログレス
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アメーバ経営システムにおける会計処理の構造の探究
電気機器メーカーA社の部門収益の計上方法を中心として
渡辺 岳夫
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2013 年 2013 巻 14 号 p. 54-67

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抄録

 AMSでは,組織構造的にはコストセンターである組織単位に対して,収益を管理会計上設定することで利益責任を持たせ,それに対する意識づけを高めようとしている。この点が,AMSにおける会計上の最大の特徴であるといってよい。しかしながら,収益計上処理の具体的な内容や,その処理方法がもたらす様々な効果については,必ずしも十分に明らかにされてこなかった。そこで本稿では,電気機器メーカーA社のAMS実践を取り上げて,製造,営業,および技術の各部門における収益の計上方法の具体的な内容を明らかにした。また同時に,それらの方法が,いかなる行動的効果を目指し,いかなる基本原理のもとに形成されてきたのかについても考察した結果,A社では,収益計上方法のデザインにあたって,努力に見合った適切で公平な収益配分を基本原理としつつも,部門間インタラクションの生起など,組織成員に対する一定の行動的効果を意図していたことが分かった。

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© 2013 日本会計研究学会
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