本研究の目的は,吸収能力,経験学習に係わる組織能力(経験学習能力)という2 つの管理会計能力が,管理会計システムの利用と組織業績の関係に与える影響を明らかにすることである。郵送質問票調査に基づく分析の結果,管理会計能力の高さは,管理会計システムの利用が組織業績に与える影響をよりポジティブにすることが確認された。また,管理会計システムの利用に応じて有効な管理会計能力が異なり,管理会計システムの特徴を活かした組織業績の向上には吸収能力,管理会計システムの利用方法を工夫した組織業績の向上には経験学習能力が有効であることも推察された。