会計プログレス
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私立大学における教育研究経費削減の予測
収支差額情報の有用性
黒木 淳
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2016 年 2016 巻 17 号 p. 55-69

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抄録

 本稿の目的は,私立大学が3 期先まで連続して教育研究経費を削減する要因について実証的に明らかにすることである。これまで先行研究は,私立大学を含む非営利組織がサービス提供の努力水準を連続して低下させる要因について明確に結論づけていない(Tuckman and Chang 1991;Greenlee and Trussel 2001)。本稿は,私立大学のサービス提供努力水準の低下を,教育研究経費を3 期連続で削減することとして代理し,私立大学の収支差額(利益)を示す「帰属収支差額」に注目することによって要因を特定する。2008年3 月期から2014年3 月期までの私立大学財務データを用いて検証した結果,帰属収支差額が低く,損失を計上した私立大学ほど, 3 期先まで連続で教育研究経費を削減していることを発見した。この結果は,私立大学における会計情報の利用者にとって,将来における教育研究経費の削減を予測するために,帰属収支差額の水準及び符号が有用であることを示している。

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© 2016 日本会計研究学会
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