暗号資産に関する所得区分のわが国の取扱いは,国税庁によると暗号資産を支払手段と据えるため原則として雑所得に区分されている。しかし,暗号資産の種類及び取引は多種多様であるため,多種多様な暗号資産の特徴に応じて所得税法上の適正な所得区分を該当させる必要がある。以上から,本論文では,暗号資産をその特徴ごとに体系的に分類したうえで,暗号資産それぞれの所得税法上の適正な所得区分を探究して明らかにすることを目的とする。 本論文の理論分析で得られた結論は,支払手段に分類される暗号資産の売却等による利益は雑所得に区分され,支払手段に分類されない暗号資産の売却等による利益は譲渡所得に区分されるということである。