会計プログレス
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非営利組織の受益者に対する説明責任
質問票調査による規定要因の分析
尻無濱 芳崇井上 慶太藤野 雅史
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2024 年 2024 巻 25 号 p. 55-72

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抄録
 本研究は,日本の認定NPO法人に焦点を当て,非営利組織が受益者に対して果たす説明責任について調査した。調査の結果,受益者を説明責任を果たす相手として認識している認定NPO法人は55.9%と半数以上だった。また,認定NPO法人が受益者に対する説明において重視する内容については業務活動の具体的内容が75.7%で最も多く,重視する説明手段としては成果や状況を説明する文章が68.9%で最も多かった。受益者への説明責任の果たし方を規定する要因として,組織の活動領域,組織の規模,受益者に対する認識を考え,これらの要因が受益者への説明内容や説明手段に影響を与えているかを検証した。分析の結果,活動領域によって受益者に対する説明内容や説明手段の中で重視するものが変わることが判明した。それに加えて,受益者を説明責任を果たす相手として認識している場合には説明内容や説明手段が充実する傾向があることが示された。その一方で,組織の規模が受益者に対する説明責任の果たし方に影響を与えているという証拠は得られなかった。
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© 2024 日本会計研究学会
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