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スタートアップとペイアウト戦略
河瀬 宏則
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2026 年 208 巻 2 号 p. 41-54

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抄録
 本研究は,日本の上場企業のうちスタートアップのペイアウト政策を対象として,主として単変量分析に基づき,その実態に関する基礎的な証拠を提供するものである。スタートアップは投資機会が豊富であり,一般に株主還元には消極的と考えられてきたが,本研究はペイアウトを行うスタートアップが一定数存在することを示している。特にスタートアップがその歴史上,初めてペイアウトを行うとき,企業ライフサイクルの観点から成熟度が有意に高まっていることが確認されている。他にも超過現金保有や将来業績の改善を支持する結果が得られているが,一方で情報の非対称性や過小評価といった要因は,ペイアウト開始を有意に説明できていない。以上の結果は,スタートアップのペイアウトが企業ライフサイクルの転換点を反映した企業行動であることを示唆している。
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