2018 年 39 巻 2 号 p. 227-231
わが国の救急医療は主にemergency room (ER), 重症初療, 集中治療, 病院前診療から成り立っているが, 地域性や施設の体制や特性などにより, 求められる救急医療の診療スタイルは異なっている。東京医科歯科大学医学部附属病院の救命救急センターは開設当初より救急科と外科 (外傷・救急外科) を両輪としてきた。救急と外科のスペシャリティを持ち合わせ診療を行うことは, (1)緊急度の高い患者に対する迅速な受け入れ, (2)初期診療からシームレスな処置ならびに手術, (3)術後重症患者の集中治療管理, (4)合併症を有する患者の周術期管理, (5)術中急変のみならず他科の院内急変対応等を可能とする。救急科と外科を両輪とする当科の目指したAcute Care Surgeryのニーズは高まっており, それを目指す若手医師は増えている。救急と外科の両方のスペシャリティをもつ救急医を育成することは今後も重要な課題である。