2018 年 39 巻 2 号 p. 222-226
感染性心内膜炎 (以下, IE) の診断には改訂Duke臨床的診断基準 (以下, Duke基準) が用いられ, IEの可能性あり (以下, IE可能性) では経食道心臓超音波検査 (以下, TEE) が推奨されるが, 非侵襲的に施行前確率を高める手段が望まれる。今回われわれは, 血中心筋トロポニン I (以下, cTn I) の評価を試みた。
【方法】2016年11月~2017年9月に, Duke基準IE可能性例で, 心臓超音波検査でのIE確定診断 (以下, IE確診) の有無と血中cTn I 値の関係を後ろ向き調査した。
【結果】対象症例は10例であった。cTn I 値のcut-offを0.056ng/mLにとると, IE確診例6例のうち5例が陽性, IE非確診例では全例が陰性であった (p=0.0476) 。左心系自然弁罹患例では, 全例陽性であった (p=0.0079) 。
【考察・結語】Duke基準IE可能性例での心臓超音波検査でのIE確診の有無と血中cTn I 値には有意な関連が考えられた。今後, 前向き・多数例での検証を考えたい。