日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
原著論文
術後疼痛に対し恐怖を抱えた患者と共に疼痛コントロールを図ることの意義と成果
山口 遼中村 香代
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2018 年 39 巻 2 号 p. 241-245

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抄録

症例は60代女性 (A氏) 。1年前に膵頭部がんに対し膵頭部十二指腸切除をした。その際, 疼痛コントロールを十分に図ることができず, 疼痛が増強することに恐怖を感じていた。今回, A氏は膵頭部腫瘍の再発の診断を受け, 膵臓全摘術が必要であった。前回の手術でA氏は術後疼痛による恐怖体験を抱えており, 手術に対し否定的な発言が聞かれた。そのため, 術直後から2種類の疼痛スケールを選択し, 評価・介入を行った。A氏の疼痛を主観的のみならず, 客観的にも評価することで, 術後早期から疼痛コントロールへの介入ができた。そのことから, 単に複数のスケールを使用するのではなく, 患者と看護師が一緒に評価できるスケールを選択し介入することの重要性を確認できた。また早期から疼痛コントロールを図ったことが, 退院を視野に入れた, 生活調整へと目を向ける成果となった。これらの心理的変化について症例を通し報告していく。

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