症例は78歳, 男性。1月下旬午前5時ごろ, 自宅廊下のトイレ前で倒れているころを妻に発見され救急要請となった。来院時, GCS E1V1M5の意識障害と低体温 (直腸温29.5℃) を認めた。気管挿管を試みたが, 著明な気道狭窄のため声帯より中枢側への挿管チューブの挿入は困難であった。このため, 直ちに輪状甲状靱帯切開を施行し気道確保を行った。血液ガス分析で混合性アシドーシスを認めた。入院後の喉頭ファイバー, 造影CT, 生検により気道狭窄は声門下癌によるものであることが判明し, CO2ナルコーシスにより意識障害をきたし, 低体温を生じたものと考えられた。声門下癌はまれな疾患であるが, 挿管困難例や切迫窒息例ではこうした疾患を念頭に置く必要があり, 迅速な緊急気道確保を行うことが重要であると考えられた。