日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
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症例報告
ビブリオ・バルニフィカス感染による壊死性筋膜炎, 敗血症性ショックに対して集学的治療を行い救命した1症例
長谷川 綾香佐々木 庸郎野原 春菜有野 聡松吉 健夫一瀨 麻紀山口 和将小島 直樹稲川 博司岡田 保誠
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2018 年 39 巻 2 号 p. 281-284

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抄録

症例は65歳男性で海釣りに行った2日後に救急搬送となった。来院時はショックを呈しており, 左下腿の著明な浮腫と両下腿に地図状の紫斑が認められた。時間経過とともに紫斑の著明な拡大が認められ, 壊死性筋膜炎による敗血症性ショックと考えたため, 感染巣コントロール目的に両側大腿切断術を施行するとともに, ビブリオ・バルニフィカスをカバーした複数の抗菌薬投与を行った。手術後に右上肢の紫斑が拡大している所見を認め, 右上肢も切断が必要と考えられた。しかし, 患者家族が右上肢切断は希望しなかったため, 可及的なデブリドマンを連日施行した。入院後, 局所や血液培養からビブリオ・バルニフィカスが検出され, 同菌による壊死性筋膜炎, 敗血症性ショックと確定診断した。連日のデブリドマン, 血液浄化などの集中治療の結果, 循環動態は徐々に改善した。その後各種合併症の治療に難渋したが, 長期にわたる集中治療ののち入院71日目にICUを退出した。

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