日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
保存的加療にて改善した十二指腸狭窄を伴う外傷性十二指腸壁内血腫の1例
武田 知晃古谷 良輔宮崎 弘志望月 聡之藤井 裕人鈴木 誠也山縣 英尋三澤 菜穂大矢 あいみ
著者情報
ジャーナル フリー

2018 年 39 巻 2 号 p. 331-334

詳細
抄録

症例は22歳男性である。自動二輪車で転倒し, 腹痛を主訴に横浜医療センターへ救急搬送された。造影CTで右腎損傷を認めたが, 血管外漏出の所見は認めずバイタルサインも安定していたため保存的加療の方針とした。翌日には経口摂取を開始できたが, 徐々に腹痛の再燃を認めた。再検した腹部CTで十二指腸下行脚から水平脚にかけて腫瘤様陰影を認めた。遅発性の外傷性十二指腸壁内血腫の診断であった。内腔の狭窄は高度であり手術も十分検討される症例ではあったが, バイタルサインは安定しており貧血の進行も軽度であったため保存的加療の方針とした。その後, 胃管からの排液量も徐々に減り良好な経過をたどった。結果, 侵襲の少ない保存的加療で第36病日に退院することができた。一般的に十二指腸壁内血腫は保存的加療が第一選択とされているが, さまざまな合併症には十分注意し, 管理するうえでは胃管からの排液量や適切な画像フォローが必要であると考える。

著者関連情報
© 2018 日本救急医学会関東地方会
前の記事 次の記事
feedback
Top