日本救急医学会関東地方会雑誌
Online ISSN : 2434-2580
Print ISSN : 0287-301X
症例報告
詳細な病歴聴取により予測し得たレプトスピラ症の1例
高橋 慶富永 直樹瀧口 徹川端 真里佐土合 昌巳五十嵐 豊萩原 純横堀 將司根井 貴人小泉 信夫増野 智彦辻井 厚子金 史英布施 明横田 裕行
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2018 年 39 巻 2 号 p. 326-330

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抄録

症例は50代男性。数日前からの発熱, 下痢を主訴に前医受診し, 高度の肝・腎機能障害を認めたため, 当施設に転院搬送となった。アルコール性肝機能障害およびC型肝炎の既往があったため, 当初それらによる病態を疑い診療を開始した。しかし, 画像上で腹部臓器の器質的異常がみられないなど, 既往疾患の急性増悪としては非典型的であった。そこで詳細な病歴聴取をしたところ, 一般廃棄物運搬業に就労していることが判明した。不衛生な環境を背景に, 肝・腎機能障害, 血小板減少が主症状としてあることからレプトスピラ症を疑い, 血清PCR検査などで確定診断に至った。わが国におけるレプトスピラ症は比較的まれな疾患であるが, 重篤であり死亡例の報告もある。原因不明の肝・腎機能障害, 血小板減少を認めた場合はレプトスピラ症も念頭に置き, 速やかに病歴聴取をして診断に至ることが重要と考えられた。

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