2020 年 41 巻 2 号 p. 318-321
外傷性血胸への止血戦略としてtranscatheter arterial embolization (TAE) が用いられるようになったが, 中にはCT検査や血管造影検査で指摘困難な出血があり, TAEを施行するも止血を得られない症例もある。右胸背部痛を訴え救急搬送となった83歳男性で, 来院2日前に転倒し右背部を受傷していた。CT検査で第9から11肋骨骨折および外傷性血胸と診断し, 胸腔ドレーンを留置して入院となった。入院後に100mL/hr以上の血性胸水の排出が持続し, CT検査で造影剤漏出像が認められたため, 出血源と思われる肋間動脈にTAEを行った。しかし, TAE後も血性胸水の排出は継続し, 入院翌日に開胸術を施行した。術中, 横隔膜に直径1cmの裂傷があり同部位から出血を認め, 縫縮により止血を得た。術後, 血性胸水の排出はおさまり, 合併症なく経過し, 第18病日に自宅退院となった。横隔膜損傷による外傷性血胸では画像診断が困難なことがあり, 下位肋骨骨折を伴う外傷性血胸では横隔膜損傷も念頭に入れた診療が肝要といえる。